ARTICLES · 2025.08.04 · 採用のワンポイント

内定辞退の実態と企業が取るべき対応策 〜内定を出してからが後半戦のスタート〜

新卒・中途採用で異なる「辞退」の背景と向き合い方

企業が採用活動の終盤で直面する大きな壁の一つが「内定辞退」です。時間と費用をかけて選考を進め、ようやく出した内定にも関わらず、候補者が辞退する――。その喪失感は、人事担当者にとって決して小さくありません。

とはいえ、辞退そのものは珍しいことではなく、採用活動においては常につきまとうリスクです。本稿では、「新卒採用」と「中途採用」における内定辞退の傾向とその理由、そして企業が取るべき対応策について解説します。

新卒採用における内定辞退:多数内定時代の“普通の行動”

複数内定が当たり前の時代に

近年の新卒採用市場では、優秀層を中心に複数社から内定を獲得することが当たり前になっています。実際、キャリアチケットが2025年3月に発表した「2025年卒の内定承諾・辞退に関する実態調査」では、すでに内定を獲得した学生の約6割が「辞退した経験がある」と回答しています。

  • 辞退理由の上位:

    他社の内定を受けるから

    希望と異なる職種だから

    志望業界が変わったから

この結果からもわかるように、内定辞退は「裏切り」ではなく、学生側にとっては自分に最も合う企業を慎重に選ぶプロセスの一部であるといえます。採用担当者としては内定後も承諾を得るために学生に寄り添った丁寧なフォローが必要と言えます。

“内定承諾”はあっても安心できない

さらに注意すべきは、「内定承諾書の提出=入社確約」ではないという点です。学生は早期に複数の内定を押さえたうえで、就職活動を継続するケースも珍しくありません。そのため、企業としては承諾後のフォローが欠かせないのです。

特に、「他社の選考状況が気になる」「本当にこの会社でいいのか不安」という学生心理に寄り添い、不安の払拭や魅力の再訴求ができるかが、辞退防止の鍵となります。内定承諾を得た後も継続的にイベントに呼んだり面談をしたりする必要があります。

中途採用における内定辞退:転職“市場”の裏にある温度差

辞退率の実態と背景

リクルートの「中途採用実態調査(2023年)」によると、最終面接を通過し内定を出した候補者のうち、約3割が入社に至っていません。この数値は採用難が続く中で、企業にとって非常に厳しい現実です。

中途採用における内定辞退の理由には、以下のようなものがあります:

  • 他社からより条件の良いオファーが出た

  • 現職に引き止められて心が揺らいだ

  • 入社後の期待値が下がった(仕事内容、社風、将来性など)

  • 選考中の印象や情報が食い違っていた

とくに転職者は「比較検討」を強く意識しており、条件や企業文化のわずかな差が決め手になることが多い傾向にあります。

内定から入社までの「情報差」が原因に

中途採用では、短期間で内定を出す企業も少なくありません。しかし、あまりにスピーディーな選考や条件提示は、候補者側にとって「情報不足」「判断材料の不足」につながり、入社後の不安を膨らませます。その結果、「思っていた会社と違うかもしれない」という不安から辞退を決意するケースも多いのです。

また、現職との兼ね合いや引き継ぎ期間の関係で入社まで時間が空くこともあり、その間に気持ちが変化してしまうというケースもあります。

内定辞退を防ぐための企業側のアクション

1. “惚れ直させる”ためのフォロー設計

候補者が内定を受けたあと、入社までに感情が冷めてしまうことは少なくありません。とくに新卒では「親や周囲に相談した結果、気持ちが変わった」というケースも多く、中途では「現職との比較検討」に揺れるケースが見られます。優秀な方ほど現職に強く引き留められます。

これを防ぐためには、以下のような接点作りが効果的です:

  • 入社予定者向け座談会の実施(先輩社員との交流)

  • メールやチャットでの定期フォロー

  • オファー面談での不安解消

  • 社内の雰囲気を伝える動画やコンテンツの共有

形式的な連絡ではなく、「あなたの入社を本気で歓迎している」という姿勢を伝えることで、辞退のリスクを下げることができます。会食をしたり上位役職者や面接官以外の現場メンバーとの面談などが行えます。

2. 「なぜ選ばれたのか」を伝える

候補者自身が「なぜ自分が選ばれたのか」を理解していない場合、内定への納得感が薄れ、辞退に繋がることがあります。とくに複数の内定を持つ人材にとっては、自分がどう評価されているのかが“判断材料”になるのです。

  • 「◯◯という経験を、弊社のこのポジションでぜひ活かしていただきたい」

  • 「選考を通じて感じた◯◯という価値観が、弊社の文化と非常に合致している」

といった言葉を添えることで、候補者の承諾後の納得感とコミットメントは高まります。

3. 逆質問や懸念に“踏み込んで”対応する

選考過程や内定通知時に、候補者が示すちょっとした不安や疑問にしっかり向き合えているかも重要なポイントです。

たとえば「労働時間」「評価制度」「将来のキャリアパス」など、候補者が踏み込みにくいテーマにも企業側から説明を入れることで、透明性が高まり、不信感を減らせます。

これは特に中途採用で顕著であり、候補者の不安を早期に潰しておくことが辞退リスクの軽減に直結します。

内定辞退が起きたときの対応:今後の“資産”に変える視点

候補者が辞退を決めたとき、企業側が取るべき対応は以下の3点です。

1. 丁寧な感謝と応援の言葉を伝える

辞退は残念な結果であることは間違いありませんが、ここで感情的になってしまうと、企業の評判に大きく関わります。候補者は友人やSNSを通じて企業の印象を発信する存在であることを忘れてはなりません。

「ご決断を尊重し、今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます」といった誠実な対応を心がけましょう。

2. 辞退理由のヒアリング(可能な範囲で)

もし可能であれば、辞退理由をヒアリングしておくことは非常に有益です。自社の採用プロセスや説明にどんな不足があったのかを知ることで、次の採用に活かすことができます。

ただし、無理に聞き出そうとすると印象が悪くなるため、あくまで「よろしければ差し支えない範囲でお聞かせいただけますか」というスタンスで伝えましょう。

3. タレントプールへの登録・関係維持

辞退したからといって、その人材が自社と完全に縁が切れるわけではありません。特に中途採用の場合、数年後に再び転職を検討する可能性は大いにあります。

候補者との関係を大切にし、以下のような取り組みも検討するとよいでしょう:

  • 再募集時の案内を送る「タレントプール」への登録

  • ニュースレターやSNSでの情報共有

  • OB・OGとのネットワークづくり

長期的な接点を持つことで、将来の採用につながる“資産”として活用できます。

まとめ

内定辞退は、どれだけ選考を丁寧に行っても起こりうる現象です。むしろ、現代の採用活動においては「辞退されること前提」で設計を行うくらいがちょうどよいともいえます。

もちろん辞退されないことが一番重要なので、内定を出せたことをゴールと捉えずに「後半戦のスタートラインに立った」と捉えて引き続き緊張感を持って候補者と向き合うことを心がけてください。

そして辞退されてしまった際に重要なのは、「辞退されたかどうか」ではなく、「どのような理由で辞退されたのか」「次に同じことを起こさないために何を改善するのか」です。

内定辞退の裏には、候補者の不安、迷い、比較、誤解といった多くの要因が複雑に絡んでいます。それに正面から向き合い、誠実に対応する企業こそが、結果として魅力的な組織として評価され、選ばれる存在となっていくのです。


※本記事で引用した統計データは、キャリアチケット「2025年卒の内定承諾・辞退に関する実態調査」および、株式会社リクルート「中途採用実態調査2023」より。最新の調査結果については各社の公式サイトをご確認ください。


採用活動のご相談はお気軽に

内定辞退は完全には避けられないリスクですが、企業側の設計や対応次第で大きく減らすことができます。候補者の心をつかむコミュニケーション設計、辞退を防ぐフォロー施策、そして長期的なタレントプール運用まで——

株式会社ウェザーライトでは、新卒・中途を問わず、貴社に合わせた採用戦略の設計からスカウトメッセージの作成、運用のご支援まで幅広く対応しております。

「内定辞退を減らしたい」「候補者との接点づくりに悩んでいる」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

👉 採用支援サービスの詳細はこちら